アメリカで推奨される予防接種の種類

記事最終レビュー: 2015年9月

はじめに

 アメリカに長期滞在する予定がある場合,事前に日本で受けた予防接種の記録を英訳し医師のサインのある書類を準備しておきます.

 特に学校に通う場合,指定された予防接種を受けるか,受けた記録を提出する必要があるので,この書類を用意しておくと同じ予防接種を受けずに済みます.

 ここでは,アメリカの学校・移民局で推奨される予防接種,それに対応する病名,病気の概略を簡単にまとめます.このページ内のリンクは,病気・ワクチン・病気の概要への相互リンクになっています.

 

ワクチンの接種を推奨される病名

英語の病名
(リンクは病気の簡単な説明)
日本の病名
Mumps おたふくかぜ 流行性耳下線炎
Rotavirus  ロタウイルス
Varicella 水疱瘡 chickenpox
Measles 麻疹 はしか
Influenza  インフルエンザ
Rubella 風疹(三日はしか)
Hepatitis A A型肝炎
Tetanus 破傷風
Diphtheria  ジフテリア
Hepatitis B B型肝炎
Meningococcal disease  髄膜炎
Pertussis 百日咳
Pneumococcal disease (Conjugate)  肺炎
Polio  ポリオ
Haemophilus influenzae type B (Hib) インフルエンザ菌b型
(2009-12-14 まで推奨されていた予防接種)
human papillomavirus (HPV) 帯状疱疹
zoster vaccines ヒトパピローマウイルス

 

 

一般的な予防接種の種類

予防接種名 対象となる病名
(リンクは病気の簡単な説明)
日本の病名
Hep B Hepatitis B B型肝炎
DTaP Diphtheria 
Tetanus
Pertussis
ジフテリア
破傷風
百日咳
DT Diphtheria 
Tetanus
ジフテリア
破傷風
Tdap Tetanus
Diphtheria
Pertussis
破傷風
ジフテリア
百日咳
Td Tetanus
Diphtheria
破傷風
ジフテリア
H1b Haemophilus influenzae type B インフルエンザ菌b型
IPV/OPV Polio ポリオ 
MMR Measles
Mumps
Rubella
麻疹(はしか)
流行性耳下線炎(おたふくかぜ)
風疹
Varicella Chickenpox 水疱瘡
HPWV human papillomavirus 帯状疱疹
Rota Rotavirus  ロタウイルス
MCV4/MPSV4 Meningococcal 髄膜炎
Hep A Hepatitis A  A型肝炎
TIV/LAIV Influenza インフルエンザ

 

予防接種が推奨される病気の要約

Mumps おたふくかぜ 流行性耳下線炎
原因: ムンプスウイルスの感染
感染経路: 飛沫感染・接触感染
潜伏期: 12日〜14日
かかりやすい年齢: 2歳から12歳の子供への感染が一般的,他の年齢でも感染する.
症状:  発症から12〜24時間以内に唾液腺(耳下腺)の腫脹(60〜70%で発生). 2日目に最もひどく3〜4日でゆっくり消失.38〜39℃の発熱が3〜5日間.頭痛,咽頭痛,こめかみや顎の腫脹,膵炎.
参考:  日本では,新三種混合ワクチン(MMRワクチン)の導入以降減少傾向にある.
ワクチン: MMR
リンク: Wikipedia

 

 

Rotavirus  ロタウイルス
原因: ロタウイルスの感染
感染経路: 全て経口
流行期: 冬季
潜伏期: 1〜3日
症状:  下痢症状が3~9 日継続.乳児のウイルス性下痢症・感染性胃腸炎の原因ウイル合併症.
ワクチン: Rota
リンク: Wikipedia

 

 

Varicella 水痘(すいとう) 水疱瘡(みずぼうそう) chickenpox
原因: 水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus)の初感染
感染経路: 主に空気感染、飛沫感染
流行期: 12 - 7月
潜伏期: 2週間程度(10 - 21日)
かかりやすい年齢: 9歳以下
症状:  全身に直径3 - 5mm程度の盛り上がった紅い発疹が出現する. 発疹の出現は発病から3日目ごろがピークで,7日程度で治癒する. 治癒後も神経節などに水痘・帯状疱疹ウイルスは潜伏していて, 免疫低下時や疲労・ストレス時に再活性化し帯状疱疹を発症することがある.
ワクチン: Varicella
リンク: Wikipedia

 

 

Measles 麻疹(ましん) はしか
原因: 麻疹ウイルスの感染
感染経路: 空気感染・飛沫感染・接触感染と多彩
流行期: 初春から初夏,伝染力が非常に強い
潜伏期: 麻疹ウイルスへの曝露から、発症まで7~14日間程度
かかりやすい年齢: 2 歳以下が約半数を占め1歳代が最も多い
症状:  38℃前後の風邪症候群様(発熱、倦怠感、上気道炎症状)の症状. 結膜炎症状が2~4日続き.いったん解熱する. 発疹は体幹や顔面から目立ち始め,後に四肢の末梢にまで及ぶ.
ワクチン: MMR 獲得免疫の有効期間は約10年.母体からの免疫移行があり,生後9カ月頃までは移行免疫により発症が抑えられる.
リンク: Wikipedia

 

 

Rubella 風疹  三日はしか
原因: 風疹ウイルスの感染.
感染経路: 飛沫感染 伝染力は水痘、麻疹(はしか)より弱い。
潜伏期: 発疹の発症前1週間~発疹消滅後1週間
症状:  妊娠初期に妊婦が風疹に感染することによって,新生児にさまざまな奇形や障害をもたらす症候群先(天性風疹症候群; congenital rubella syndrome;CRS)が心配される.
ワクチン: MMR 風疹にかかった人は免疫ができ,二度とかからないといわれる.
リンク: Wikipedia

 

 

Diphtheria ジフテリア
原因: ジフテリア菌を病原体とするジフテリア毒素によって起こる上気道の粘膜感染症
感染経路: 保菌者の咳などによって飛沫感染する.
潜伏期: 通常1~10日間 2~5日が多い
症状:  喉の痛み,犬がほえるような咳,筋力低下,激しい嘔吐,39.5℃までの発熱.
ワクチン: DTaP, DT, Tdap, Td  ジフテリア毒素をホルマリン処理して無毒化したトキソイド(ワクチン)の接種.日本では三種混合ワクチン(DPTワクチン),二種混合ワクチン(DTワクチン)に含まれている.
リンク: Wikipedia

 

 

Pertussis 百日咳
原因: グラム陰性桿菌の百日咳菌(Bordetella pertussis)による呼吸器感染症
感染経路: 飛沫感染   急性気道感染症
流行期: 春が多い
潜伏期: 1〜2週間
症状:  初期は軽い風邪症候群のような症状(約2週間持続)、中期は重い咳の発作(約2 - 3週間持続),回復期(約2 - 3週間以上持続)の3段階からなり,回復までに約3ヶ月を要する.
ワクチン: DTaP, Tdap  ワクチン接種による免疫の持続期間は約4 - 12年間
リンク: Wikipedia

 

 

Polio ポリオ
原因: ポリオウイルスによって発症するウイルス感染症
感染経路: さまざまな経路で経口感染
流行期: 夏から秋にかけて多く発生
潜伏期: 1~2週間
かかりやすい年齢: 5歳以下の小児の罹患率が高い(90%以上)成人も感染しうる
症状:  初期症状は,発熱,頭痛,倦怠感,嘔吐,下痢など,感冒・急性胃腸炎に似たもの. このような症状が1~4日続き,熱が下がるころ足や腕に弛緩性の麻痺が起こる。ときに横隔膜神経・延髄麻痺を生じて呼吸不全を起こし,死亡する危険が生じてくる. 5~10人に一人の確率で終生麻痺が残る.
ワクチン: IPV/OPV  WHOでは3回以上の接種が推奨されている.強化型不活化ポリオワクチンeIPVでは、2回接種で95%、3回接種で99~120%の接種者が免疫抗体を獲得し、免疫は一生涯続くと考えられている.
リンク: Wikipedia

 

 

Tetanus 破傷風
原因: 土壌中に棲息する嫌気性の破傷風菌 (Clostridium tetani) が、傷口から体内に侵入することで感染を起こす.
感染経路: ヒトからヒトへは感染しない
かかりやすい年齢: ワクチンによる抗体レベルが十分でない限り、誰もが感染し、発症する可能性はある
症状: 破傷風菌は毒素として,神経毒であるテタノスパスミンと溶血毒であるテタノリジンを産生する.テタノスパスミンは、脳や脊髄の運動抑制ニューロンに作用し,重症の場合は全身の筋肉麻痺や強直性痙攣をひき起こす.一般的には,前駆症状として,肩が強く凝る,口が開きにくい等,舌がもつれ会話の支障をきたす,顔面の強い引き攣りなどから始まる.
ワクチン: DTaP, DT, Tdap, Td  日本では三種混合ワクチンに含まれる.
リンク: Wikipedia

 

 

Meningococcal disease 髄膜炎
原因: bacterium Neisseria meningitidis 髄膜炎菌 の感染
症状:  発熱、頭痛、意識障害など
ワクチン: MCV4/MPSV4  髄膜炎菌性髄膜炎に対する予防接種がある。コンジュゲート(MCV4)とポリサッカライド(MPSV4)との2種類がある
リンク: Wikipedia

 

 

Hepatitis A  A型肝炎
原因: A型肝炎ウイルス(HAV)が原因のウイルス性肝炎 RNAウイルス
感染経路: 経口感染
潜伏期: 約1ヶ月
症状:  小児では不顕性か発症しても軽い症状で終わることが多い。一方、成人では明瞭な黄疸症状を呈する事が多く灰白色便、発熱、下痢、腹痛、吐き気・嘔吐、全身倦怠感などの症状があり、初期には風邪と類似の症状がみられる場合がある
ワクチン: Hep A  A型肝炎ワクチン
リンク: Wikipedia

 

 

Hepatitis B B型肝炎
原因: B型肝炎ウイルス (HBV) の感染
感染経路: 血液を介して感染
症状:  多くは無症状で経過するが、20~30%が急性肝炎を発症し、1~2%が劇症肝炎化する
ワクチン: Hep B
リンク: Wikipedia

 

 

Haemophilus influenzae type B (Hib) インフルエンザ菌b型
原因:  Hib(ヒブ)は真正細菌であるインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型の略称で,冬場に流行するインフルエンザ(流行性感冒)の原因微生物となるインフルエンザウイルスとは異なる.
かかりやすい年齢:  
症状:  肺炎・敗血症・喉頭蓋炎などさまざまな感染症を引き起こし,なかでも重篤な感染症がHibによる細菌性髄膜炎(Hib髄膜炎).
ワクチン: H1b  Hibワクチンを生後2~7か月までに接種開始する場合は,4~8週間間隔で3回,追加免疫として3回目の接種から約1年後に1回の計4回接種である.生後7か月~1歳未満に接種開始する場合は,同じく4~8週間間隔で2回,追加免疫として2回目の接種から約1年後に1回の計3回接種である.1歳を越えると追加免疫はなく1回のみで抗体獲得となる. Hibワクチン接種後,6日間以上の間隔をあければ次のワクチンを受けることが可能で、同時接種を希望する場合は医師に相談する.日本でも海外同様,三種混合など他ワクチンと一緒に予防接種されている.
リンク: Wikipedia

 

 

Influenza  インフルエンザ
原因: A・B・Cの3型あり,RNAウイルス
感染経路: 咳・くしゃみなどによる飛沫感染 
流行期: 冬季
潜伏期: 1–2日が通常であるが、最大7日まで
症状:  悪寒,発熱,頭痛,全身倦怠感,筋肉痛を特徴とし,咽頭痛,鼻汁,鼻閉,咳,痰などの気道炎症状を伴う.腹痛,嘔吐,下痢といった胃腸症状を伴う場合もある.急性脳症や二次感染により死亡することもある.A型インフルエンザはとりわけ感染力が強く,症状も重篤になる傾向がある.
参考:    A型インフルエンザウイルスにはHAとNAの変異が特に多い.A型は時々遺伝子が大きく変わるので、時折パンデミックを起こす.B型は遺伝子がかなり安定しており,免疫が長期間続く.C型は遺伝子がほとんど変化しないので免疫が一生続く.

 ワクチンは肺や気管支の免疫力を高めることはできても,主な感染経路となる喉や鼻などの粘膜には作用しない,よって,ワクチンは肺炎などの重症化を抑える作用はあるが,ウイルスの侵入を防ぐのは難しい.

 手洗いは,せっけんと流水で15秒以上かけて洗う.市販の速乾性アルコール消毒剤も,ウイルスを死滅させる力がある.乾燥でウイルスが活性化しやすいため,適度な湿度を保つことも重要.うがいにインフルエンザウイルスを除去する効果はないが,喉の粘膜を潤して感染しにくくする利点はあるという意見もある.

 治療には、ウイルスの増殖を抑えるタミフル(飲み薬),リレンザ,イナビル(吸入薬)などの抗インフルエンザ薬が使われる.

ワクチン: TIV/LAIV 現在の流行に対応している混合ワクチン.
リンク: Wikipedia

 

 

Pneumococcal disease (Conjugate) 肺炎
原因: Streptococcus pneumoniae (S. pneumoniae) 肺炎球菌の感染
症状:  発熱、咳、痰、呼吸困難、全身倦怠感、胸痛など
リンク: Wikipedia

アメリカで推奨される予防接種